円錐角膜とは、角膜に起こる非炎症性変性疾患で、中央部の角膜が薄くなり、角膜が前方へ円錐状に突出していく病気です。
円錐角膜について
円錐角膜とは
円錐角膜とは、角膜に起こる非炎症性変性疾患で、中央部の角膜が薄くなり、角膜が前方へ円錐状に突出していく病気です。現在のところ原因は不明ですが、遺伝やアトピー等によって眼をこする事が要因の一つに考えられています。
若年層の発症が多く、日本では20歳前後の進行が目立っており、30歳頃になると進行がおさまる傾向にあるようです。
初期の円錐角膜では、通常のハードコンタクトレンズ(以下HCL)でも矯正できますが、進行すると円錐角膜の特殊HCLが必要になります。また、角膜移植など様々な治療法があります。
症状
症状としては角膜が突出する事によって歪みが生じ、物が変形して見えたり、二重に見えたりするなどの視力低下が起こります。
角膜内に水が溜まり、角膜が突然白く濁る急性水腫(デスメ膜破裂)という病気になると、さらに視力が低下することがあります。
治療
円錐角膜の程度は様々で、突出が軽度であれば、眼鏡やソフトコンタクトレンズ(以下SCL)の装用で視力が得られます。しかし、症状が進行すると以下の治療方法が必要となってきます。
ハードコンタクトレンズ
HCLを装用することで、角膜の突出を抑え視力を向上させます。治療適応の対象は、突出が軽度から中等度までの例となります。HCL装用により角膜に傷がつき、痛みが生じてしまう場合には、SCLの上にHCLを乗せる方法もあります。
角膜移植
突出の程度が高度の場合に対応になります。昔は全層角膜移植(角膜の全層を取り替える手術)のみが行われてきましたが、近頃ではパーツ移植という概念のもと、深層表層状角膜移植も行われています。
- 全層角膜移植
- 全層角膜移植は層間の濁りが生じない為、術後の視力向上が良好です。しかし、手術中の合併症や手術後の拒絶反応の危険性などが深層表層状角膜移植より高くなります。
- 深層表層状角膜移植
- 深層表層状角膜移植は角膜の内層は残し、それより表層の部分だけを移植する方法です。手術中の合併症や手術後の拒絶反応は少ないとされています。しかし、角膜の内層は0.02mm程度と非常に薄い為、内層とを残すのは大変難しく、時間もかかります。
角膜クロスリンキング
円錐角膜の進行を停止させる目的で行われている治療法で、角膜の形状・視力を改善させる作用はほとんどありません。角膜にリボフラビン(ビタミンB2)を点眼し、浸透させながら長波長紫外線を30分照射する事により、角膜実質のコラーゲン線維の結びつきを強くすることで進行を予防します。